午後の休息時間

同期のカワモンには変わった癖がある。

顔に生えてきたひげを愛用の爪切りでパチパチ切ること。

よく肌を切らないもんだと、おいどんはいつも感心していました。

 

それはとある夏の日のことでした。

今日はやることないのか、工事課長のテッちゃん、突然現場にやってきました。

やってきてしばらくすると、皆の机の上を物色。

「あった。あった。」と爪切りを手にしソファーに腰かける。

「足がかゆくてしょうがないんよ。水虫で。」と今度はいきなり靴下を脱ぎ始める。

後輩のフクちんにティッシュを取ってもらって、処置開始。

しばらくすると、ペチペチと音が聞こえ始める。

とうとう足の爪まで切り始めました。

 

しばらくすると「あーあ。」とあくびをし、今度は新聞を読み始めました。

一通り読み終えると、

「ほんじゃ、頼むの!」と言い残し、どこかへ出かけていきました。

(いったい何しにきたの?)

 

時は流れて、15時過ぎ。

おいどんが現場事務所に戻ると、同期のカワモンがコーヒー飲みながらまったりとしている。

しばらくすると、いつものように顎の伸びてきたひげを、パチンパチンと切る音が聞こえる。おいどんゲゲッと思い

「その爪切りで、朝 テッちゃんが足の水虫処理と足の爪を切っとったど!」と言うと、カワモン  コーヒー吹き出しそうになり、

「くそ、テツの野郎め! 汚いわ!」と暴言を吐き、慌てて爪切りを洗いに行きました。

(一応 上司なのですが・・・)

 

「カワモンさんの顔、一瞬 ひょっとこ  みたいな顔になっていましたよ。」とフクちん大笑い。

「久々にええもん見させてもらったわ。」とイグチン。

現場事務所は笑いであふれかえりましたとさ。

 

by

二十数年前の忘れられないお話です。

コロナがおさまったら、高松(香川県)まで

カワモンに会いに行ってみようと思う。

たたかう現場監督