ハンカチ
就職してから約8か月がたったある日、よく面倒を見ていただいていた先輩が転勤することになりました。
かなりショックでしたね。
一年生のおいどんから見ても、真面目で仕事ができ、仕事に不慣れな おいどんなんかにも、うまく仕事ができるように配慮してくれる先輩でした。
この人とならどんな苦しい現場でもやっていけそうに思える人でした。
先輩が現場を去っていくとき、その現場のスタッフに送別会のお返しということで、ハンカチを配ってくれました。
「俺がいなくなるんで涙が出たら、このハンカチでふいてくれよ。」と一言言って去って行かれました。
もうあれから三十年もたっているのに、その後ろ姿とそのセリフは忘れません。おそらく一生・・・。
時は流れて。
おいどんが新潟営業所から静岡営業所に転勤となるとき。
お世話になった業者の方から送別会を開いてもらいました。
このお返しに、先輩の真似をしてお礼のハンカチを届けました。
(ほかに良いものが浮かばなかったのです。というか、ハンカチしかないと思ってたのかも・・・。)
やがて今務めている会社から去っていくときにも、ともに仕事した仲間たちには、やはりハンカチを送ろうと思います。
食べ物のように、おなかに入って存在がなくなる物より、いずれは使われなくなって捨てられるにしても、いくらかでも使ってもらい、役に立つことがあるのならば幸いなのです。
ただのおっさんの感傷に過ぎないのでしょうが・・・。
by
年齢を重ね
感傷的になることが増えた
たたかう現場監督