シマちゃんと楽しい仲間たち 3

おいどん 入社三年目のとある日。(約三十年前のお話です。)

 

ほぼ同じ時期に、広島支店から東京に転勤になった、恐怖の大魔王 先輩のシマちゃん(約10歳年上)から電話です。

「今日、大宮(埼玉県)の○○ちゅう(と言う)飲み屋で、広島から来た人間で集まって飲むけー来いよ!」

「はい分かりました。」と瞬時に返答。

一瞬のためらいも、シマちゃんに見せてはならない。

「まさか、今 一瞬 躊躇した?」

「ちょっと間がなかったか?」などと絡まれてしまうのがおちだ。

 

同期のものが、ある飲み会で、シマちゃん怖さのあまり、ビールを注ぎにいかなかったら、

「お前ら酒も注ぎにこんのんか!」と頭をしばかれ。

別のものが注ぎに行くと

「10年早いわ!」と これまた頭をしばかれる。

「どうすりゃいいのさ・・・」と嘆いていた彼の言葉が頭をよぎる・・・

 

とにかく、シマちゃんのご機嫌を損ねないことである。

 

さて、日も傾き、業者の人が帰っていくと、そそくさとおいどんも現場を後にする。

ただ現場は葛飾 柴又の近く。シマちゃんの指定した時間にはかなり無理がある。

電車を乗り継ぎ 必死の形相で 指示された飲み屋さんへ急ぐ。

指定された時間からはすでに一時間近く遅れている。(ドキドキですなー。)

 

やっと到着し、案内され、シマちゃんの様子を見ると、他の先輩4名に囲まれてご機嫌な様子。

「フォッ、フォッ、フォー。金は無尽蔵にある。」とご満悦。

ちょっと安心して「お疲れ様です、遅くなりました。」とあいさつをする。

「おっ、来たか。それじゃ、駆けつけ三杯じゃのー。」と優しくグラスを渡してくれる、シマちゃん。

その右手にはウイスキーの瓶。

 

「やっぱり、ビールではないのですね。」と おいどん心の声。

 

表面張力の限界まで優しく注がれた、琥珀色のウイスキー

琥珀色がとってもきれいに見えたのはなぜ?)

当然ためらいは許されません。

グビグビと立て続けに3杯。

「ええ飲みっぷりじゃのー。」と シマちゃん嬉しそう。

 

しばらくして、お酒に弱いおいどんは、酒が回り始めたので、このままではえらいことになると思い、トイレで先ほど飲み込んだウイスキーをリバース(吐く)することにした。

 

ことを済ませ、5分くらい休んでいると、中ちゃん先輩が心配して見に来てくれました。(千鳥足で)ありがたいですねー。

「ええか、もどす時はの…よう見ちょけよ。」と言って、急に右手中指を、喉の奥に突っ込む素振り。(もう、呂律が回ってないど。)

その瞬間、中ちゃん先輩 本当にゲロンパ。

指を突っ込みすぎたらしい。(当然片づけはおいどんです。すっかり酔いはさめてしまいました。)

立場は逆転して、中ちゃん先輩を介抱する側になりました。

「わしゃー、大丈夫じゃけ、席に戻っとけ。」と言われ、和式便所にひとり 中ちゃん先輩を残し、シマちゃんたちのいる席に戻る。

 

しばらくして、

「中ちゃん、帰ってくるの遅いのー。ちょいと見に行ってこい。」とシマちゃん。

おいどん いそいそと席を立つ。

 

トントンとドアをたたいても返事はない。

仕方ないので、ドアの下の隙間から中をのぞいてみる。

 

ギョギョ!(さかなクンではありません。)

 

中ちゃん先輩の顔がこっち向いてたど!

しかも、半分目が開いてたど!(怖すぎ。)

 

中から鍵かかっているし、内開きの扉の為、転がってる中ちゃんの体で、ドアが開きません。

 

困ったもんだと思いつつも、しょうがないので、トイレブースと天井の間の隙間(約40cm程度)からブース内に入り込み、中ちゃん先輩を救出。

めでたしめでたしですが、宴はその後1時間続きましたとさ。(やれやれ。)

 

 

by

人生の理不尽さを教えてくれた

偉大なる先輩、シマちゃんに感謝する。

たたかう現場監督