忠告・戒め   ラ・ロシュフコーを知っていますか?

ラ・ロシュフコーはフランスの名門貴族の生まれです。(1613年~1680年)

ルイ13世ルイ14世の治世を生き、武人として戦争に参加し数度の負傷を追う。

40歳からは文筆活動を開始する。

政治的な権力争いや駆け引き、貴族たちの上っ面だけを取り繕った自堕落な生態につかれたのか、冷ややかな人間観察で、ふと共感できる「それ言っちゃうか!」的な箴言(しんげん:忠告や戒めの言葉)を集めた、【ラ・ロシュフコー箴言集】が有名です。

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短い文章を寄せ集めたものなので、どこからでも拾い読みできる本です。

おいどんは三十歳の頃この本を手にしました。

人間の美徳の裏側にある物を鋭い言葉で表し、読めば「ハッ。」とし、また「ホ~。」となる面白さがあります。

本の中からいくらかあげてみます。(ラ・ロシュフコー箴言集 二宮フサ訳 岩波書店より)

切れ者らしく見せようという色気が邪魔して切れ者になれないことがよくある。

・頭のいい馬鹿ほどはた迷惑な馬鹿はいない。

・ちゃんとわかる人にとっては、わけのわからない人たちにわからせようとするよりも、彼らに負けておくほうが骨が折れない。

・この世で最も仕合せな人は、僅かな物で満足できる人だから、その意味では、幸福にするために無限の富の集積が必要な王侯や野心家は、最もみじめな人たちである。

・真の友こそは、あらゆる宝の中で最も大きな宝であり、しかも人がそれを得ようと心がけることの最も少ない宝である。

などなど、訳された二宮フサさんは大変だったろうなと感じました。

たくさんの箴言を集め出版しているラ・ロシュフコーは、シニカルで人間嫌いのように思えますが、逆に人間が大好きで、人間を信じていたかった人なんじゃないかと おいどんは思ってしまうのです。

 

by

これだけの箴言を読んでも

何一つ変わっていない

たたかう現場監督