勘弁してくれよ 2

電車や事務所など、閉ざされた空間の中に、ハエが紛れ込んでいることがたまにある。

 

帰宅途中の電車の中。

このハエ 困ったもんで、なぜかおいどんの周りを旋回中。

「来るなよ。来るなよ。」

「あっちいけ!」なんて心の中で念じても、おいどんの心、ハエは知らず。

本能のまま飛び回っている。

Tシャツからのびる、おいどんの腕にハエがとまる。

「あちゃ~。」思わず叫びたくなるのを抑えて、腕を振ってハエを追っ払うが、またまた、おいどんの腕にとまろうと猛アタック。

「勘弁してくれよ。これだけ人が大勢いるのに、なぜゆえにおいどんなの?」

「不潔な人と思われてしまうじゃろ。頼むど!」

おいどんの気持ちを察したのか、ハエはどこかの飛び去り、一安心と思ったのもつかの間、聞こえてくる小さな羽音。

「また、ハエにとまられると・・・まずい。」なんて思うと、変な汗が吹き出しそうだ。

そんな焦りが、ハエを引き寄せる謎のフェロモンをおいどんから発生させるのか、またまたおいどんの周りを旋回。

「勘弁してください。どっか行ってください。」

「おいどんにはとまらないでください。」もう、祈りになっていますね。

「あー。」思わず声が出てしまいそう、今度は髪の毛にとまられてしまった。

ハエの好む男性ナンバーワンにになってしまったど。

おいどん、次にとまったな駅で、伏目がちに降りていきまた。

おいどんはハエに負けてしまったのです。

 

by

人間の女性へのフェロモンを持たない

悲しき

たたかう現場監督