頑張って  集めたよ!   鉱物(雲母)のお話

確か、おいどんが小学校二年生のころのおはなしです。

 

いつものように学校が終わると、とっとと家に帰る。

友達が遊ぼうといっても、用事があるから無理とそっけない返事。

 

家についてすぐに手にするのは、ピンセットとガラス瓶。

 

宿題なんかそっちのけ。

地面とにらめっこが始まります。

 

探しているのは、土の中にあるキラキラしたもの。

太陽の光を反射して、とてもきれいです。

地域的に風化花崗岩が多いため、そこかしこでキラキラ。

 

ピンセットでキラキラをつまんでは、ガラス瓶の中に入れていく。

雨の日や習い事のない日はほとんど日課のよう。

 

何で集めているのかって聞かれても、答えは秘密です。

 

約半年がたち、ガラス瓶の半分近くまでキラキラが集まっています。

まだまだ頑張ってあつめちゃうど。

残暑厳しい日曜日、額から流れた汗が目にしみる。

「おい、何しよるん?」親戚のお兄ちゃんです。

 

「なんで、雲母あつめよるん?」

「・・・」

「雲母ってなに?」

 

「これ、金じゃないん?」

 

「うん。」申し訳なさそうな、お兄ちゃんの声です。

 

「金じゃなくて、雲母っていうの、それ。」

その瞬間、おいどんの手から落ちたのは、ガラス瓶とピンセット。

ガラス瓶からこぼれた雲母が、悲しい光を放っています。

 

金を集めてお金持ちになる夢は、一瞬で消え去りました。(悲しすぎる結末ですな。)

 

この日以来、おいどんの心は、少しひん曲がってしまったのです。

 

f:id:htsuka3:20210314195339j:plain

 

 

雲母は、きらら、マイカとも呼ばれ、浮世絵のきら刷り(写楽の作品など)や、車のなんちゃらマイカ塗装なんてものにも、つかわれているらしい。

やっぱり、キラキラするものには、人間 魅力を感じるものなのですね。

 

驚いたのは、白雲母というものもあり、ストーブの窓(火をのぞく)にも使用されていたこと。

ずっと、ガラスだと思っていました。

 

 

 

by

いつまでたっても お金持ちになれない

たたかう現場監督