オーラ? はたまた 結界か?  とある生コン打設の日

おいどんまだ若かりし頃のお話です。

新宿から地下鉄で3から4つ目の駅の近くで、ワンルームマンションを建てていました。

このような立地なので、現場事務所は400m程度離れたワンルームマンション。

この日は2階の生コン打設の予定だったので、朝から大忙し。

現場の担当はおいどん一人のため、朝7時20分だというのにバタバタです。

早々に生コン打設用のポンプ車が到着すると、型枠大工、打設工、左官、ガードマン、電気設備工、給排水設備工などの協力業者の人たちが、次々に現場に到着。

簡単に朝礼を終え、生コンを打設できるようにポンプ車をセットします。

生コン屋さんに電話して、8時から打設作業開始予定です。

 

準備万端で生コン者の到着を待っていると。

中ちゃん先輩の姿。

「事務所で電話番と書類確認してやるわ。」とのこと。

まだ、携帯電話もなく、ポケベルの時代です。

「お願いします。」と、事務所のカギを渡す。

 

生コン車到着し、いよいよ生コン打設が始まりました。

おいどん カッパの上着を羽織り、長靴を履き、たたき棒とハッカーを準備して、万全の体制。

(たたき棒は文字どおり型枠をたたき、コンクリートの仕上がりをよくするために使用されます。ハッカーはくくり付けた鉄筋の乱れを治すために使用します。)

柱や壁の型枠に生コンが入っていきます。

生コン打設の開始です。

型枠の隙間から、生コンが、カッパやヘルメットだけでなく顔やメガネのレンズにまで飛び散ります。

上部に上がったり、下に降りたりと、ちょこまか動いていると、汗ばんでくるような、快晴の五月の日。

 

昼に休憩を約40分とり、ようやく15時過ぎに打設を終わりました。

左官さんを残して、ほかの業者の人達が帰った後は、少しほっとするのです。

 

さて、顔洗って長靴も履き替えようと、現場事務所に帰るとびっくり。

なんと、中ちゃん先輩、おいどんに何の連絡もなく、カギ閉めて支店(新宿駅 南口近く)に帰っちまってるど。(ガーン)

 

慌てて、電話ボックスから支店に電話をかける。

「すまんすまん。鍵 俺持ったままや。どうする?」

(このおっさん、持って来る気なさそう・・・)

「じゃー、今から 鍵 取りに行きます。」と覚悟を決め。支店 に向かうため最寄りの駅へ・・・。

 

「ワッハッハー。」

「お前、よーその格好で、電車乗ってこれたのー」と大笑い。(他人事かい! あんたが来んからしょうがないんじゃ。)

「またその格好で帰るんか?」とまたまた大笑い。(完全に舐めてますな。帰らんでどうすんじゃい。)

「五十嵐さん、五十嵐さん(会社の事務の女性です)。こいつ、このかっこで電車乗ってきたんだって。」と大盛り上がり。(喜んでいただけましたでしょうか?)

 

確かにおいどんのカッコは、罰ゲーム的な恰好だった。

多少ふき取ったとはいえ、メガネや顔に飛び散った灰色のコンクリートが付き、髪の毛はボサボサ、しかも 作業服に長靴まで装着したままだど。(泣き)

 

当然来る時と同じように、多少込んだ電車の中でも、おいどんの半径2M内(おいどんのオーラまたは結界)に入ってくる者はおらず、みんなうつむき加減で、おいどんと目を合わせる人はいなかった。

 

駅を歩いている時も、海を割ったモーゼのように、道が開けていったような記憶がのこっています。

 

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事務所のワンルームに帰ると、

すぐにシャワーを浴びた

きれい好きな

たたかう現場監督