嫁さんが泣いた 2

このお話は、同級生のツッきんから聞いたものです。

ツッきんは大学の卒業旅行で、仲間三人と中国に行ったことがあります。

その思い出が強すぎて、新婚旅行も奥様を強引に説得し、またまた中国に・・・。

いざ出発してみると、奥様が一番楽しみにしていた万里の長城の見学は、交通機関のトラブルで行くことかなわず。

奥様ガックリのまま旅行は続き、ツッきんの楽しみにしているシルクロードへと向かいます。

二人は一路 飛行機に乗って敦煌へ向かいました。

敦煌莫高窟などを見て、トルファンウルムチと天山北路へ向かう計画です。

空港につき、市内まで約十キロあまりタクシーに乗り、ホテルに向かいます。

「アッ、まずい。」ツッきん 心の中は大慌て。

シルクロードを旅する嬉しさのあまり、お金を元に換金することをすっかり忘れていました。

手持ちの元はほとんどありません。

まもなくタクシーはホテルに到着。

「ジャパニーズ 円 OK?」と勇気を出して運転手さんに聞いてみます。

「I  have   no    元.」などと状況を必死に伝えようとします。

ようやく事態が飲み込めた運転手さん、かなりお怒りで、中国語でマシンガンのように文句を言っています。

あくまで支払いは元ということになり、ツッきん、両替をするためにホテルの中に入っていきます。

奥様と荷物は支払いが終わるまでの人質扱いとなり、車の中に残されたままです。

「わしゃー、今でも換金するためにタクシー降りたとき見た、残された嫁さんの目が忘れられんのじゃ。」と遠くを見つめる目で話す ツッきん

異郷の地で、一人タクシーの中に残された気持ちは、心細いの一言ででは表せないでしょう。

換金が終わり、元で支払いを済ませると、ようやく解放された奥様。

「なんで新婚旅行なのにこんな目に合うの・・・。」ポロリと涙が光ります。

 

「今となっては笑い話じゃけど、その時は怖かったじゃろーのー。」と笑っているツッきん

旅行の満足度はともかく、二人にとって忘れられない思い出になったのは確かなようですね・・。

 

by

この旅行でカメラを貸したおいどんは

お土産に人民服と人民帽を買ってきたもらいました。

あれから三十年余り、まだ大切に持っている

たたかう現場監督