ロシアンルーレット的 振動ドリル

おいどんが働き始めたころの昔の話です。(三十数年前)

鉄筋コンクリート造の室内の天井を施工する時、天井下地を吊るすボルトを固定するため、天井インサート(メネジ埋め込みアンカー)という金物が、コンクリートのスラブ(床板)に事前に打ち込まれています。

しかし、所定の位置にない場合は、あと施工のアンカーを打ち込む必要があります。

数が多い時には、アンカー工事の業者さんに頼むことが多いのですけど、数が少ないとそれは新入社員のおいどんの仕事でした。

最近は軽くて性能の良い機械がたくさんありますが、当時は電動ピック(斫り機)にドリルを付け変えて、振動ドリルとして穴あけに使用していました。

これが結構重たいうえ、天井面に打ち込むため脚立の上に登る必要があります。

当然上向きに穴をあけるので削られたコンクリートの粉末が降り注ぎます。手はプルプルしています。

かなりさえない作業ですね・・・。

さらに問題なのは、穴をあけるコンクリートの床には配筋がなされており、ドリルが鉄筋にかみ合うと、ドリルのキリがロックされる状態になり、キリが回転せず代わりに振動ドリル本体が回転するという現象が起きます

ロックした瞬間、機械を持つ手が骨折するんじゃないかというぐらいの勢いで、ひねり上げられます。

機械を投げ出して脚立から飛び降りることもしばしば。

まるでロシアンルーレット状態・・・。

やったことないとわかんないでしょうが、結構恐怖ですよ。

(まあ、普通の人はやる必要がないのですが・・・)

新入社員のおいどんは、最初の頃はコンクリートのホコリで鼻の穴の周り真っ白けになり、襟の部分から粉が服の中に入り込むのも構わずやっていました。

それがいつしか襟を立て、タオルを頭に巻いて(とても現場監督さんのカッコじゃありませんな!)、恐る恐る慎重にかつ大胆に戦いに挑む監督さんに変貌を遂げたのであります。

 

by

日々進化を遂げる

たたかう現場監督