鉄筋コンクリート造の耐久性について  水セメント比・増し打ち 

一口にコンクリートと言っても、さまざまな種類が存在します。

おいどん達、建築の監督さんが一般的に使用するのは普通ポルトランドセメント。(通常はこれを使います。)

他に早強ポルトランドセメント(コンクリートの強度の発生が早いもの。)や高炉セメント(水和速度が遅く、硬化時の温度上昇が少ない、ひび割れが生じにくいなどの理由で、土木工事で使用されることが多い)を使用します。

 

今回は鉄筋コンクリートの建物の耐久性に大きく影響を与える、水セメント比と増し打ちについてのお話です。

 

水、砂、砂利、セメントを混ぜ合わせたものがコンクリートで、コンクリートの内部に補強のための鉄筋が組み立てられている構造を鉄筋コンクリート造と言います。

コンクリートを練り混ぜるときの、水セメント比(水とセメントの重量比率を百分率で表したもの。)がこの構造の建物の耐久性に、大きくかかわっているのです。

一般的には水セメント比は、60%以下できめられていますので、生コン屋さんに手配をする時には、当然その数値以下でお頼みしています。

 

鉄筋コンクリートの建物がコンクリート表面から内部の鉄筋までの距離(かぶり厚)が30mmで施工された場合で考えます。

アルカリ性のコンクリートの中に鉄筋があるため、鉄筋がサビずに済んでいるのですが、空気に触れたコンクリートの表面から徐々に中性化が進んでいき、中性化が鉄筋まで達すると鉄筋が腐食し始めます。

水セメント比60%の場合、コンクリート表面から30㎜まで中性化するには約40年。

水セメント比55%の場合は、60%の倍近い年数がかかるとの研究成果もあるらしい。

耐久性を求められるような建物ならば、水セメント比55%のもので施工してほしいものです。

 

水が多いコンクリートは型枠に流し込みやすく(施工しやすい。)、昔は現場に到着した生コンが少し硬いと、ホースで水を加えて柔らかくして打設していたらしい・・・。

水セメント比が65%くらいにはなっていたのかな?

65%だと25年程度で中性化が30㎜まで進みます。

 

配筋された鉄筋の位置、型枠の施工精度、コンクリートの打設が確実に行われているかなどにもよっても、建物の耐久性が変わってくるので、心して施工にあたる必要があります。

建築工事では、最小かぶり厚(30㎜)に外部増し打ち20㎜として計50㎜のかぶり厚は確保することが一般的なのですが、設計や施工業者によっては増し打ちしないところがあります。

コンクリートの中性化、雨、紫外線から、建物の耐久性を高めるためには増し打ちは必要ですね。

 

コンクリートの水セメント比や増し打ちは建物の耐久性に大きく影響しますので、建物を建てられる際に確認は必須です。

(通常、こんな話はお施主さんにはしないので・・・。)

 

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コンクリートの施工管理を誓う

たたかう現場監督