気づいた時には・・・現場での悲しい出来事2

それはマサミンが、会社に入って2年目の出来事だった。(25年前のお話です。)

地域の集会所新築の現場を、社員3人で管理していました。

現場所長はドヤガミ所長。

いかつい顔でガタイもいいうえに、かなり強引な性格なため、マサミンもその先輩のシゲゾー君も逆らうことはできません。

(二人はこの現場では、ドヤガミ所長のしもべのようなものだったらしい。)

いつかの土曜日の帰り際に

「明日、現場で車洗うんで、お前らも来いよ。」

「みんなで洗った方が楽しいよのー。」

「じゃ、明日九時集合!」と嬉しそうに帰っていくドヤガミ所長。

『明日の日曜日は、朝から釣りに行こうと思っていたのに。』マサミン心の叫びです。

「はい。」と返事をするシゲゾー君とマサミン 返事に元気がありません。

いつもこのような感じで、Noなんて言えないのです。

 

しもべのような二人にさらに悲しい出来事が・・・。

その日も土曜日の夕方でした。

市から建物の工事の管理を委託された設計事務所の担当者から、ドヤガミ所長に電話が入りました。

「打ち合わせですか・・・。」

「16時半くらいならばうかがえますよ。」と所長。

『今日は土曜日、このままドヤガミさんが帰ってくれれば、今日は早く帰れるかも・・・。』なんて考えがマサミンの脳裏に浮かびました・・。

「お前ら、打ち合わせに行ってくるんで、俺が帰るまで待っとけよ!」

『ガーン。待っとかなきゃいけんのんかい!』しもべ二人の心中です。

「せっかく早く帰れると思ったのに・・・。」小さな声で、マサミンぽつり。

「しょうがない待つしかないよ。」あきらめ顔のシゲゾー君。

 

業者もとっくに帰って、すでに時間は19時半。

「打ち合わせ、長過ぎん? シゲゾーさん。」

「そうじゃのー、もうちょっと待とうや・・・。」

 

「もう20時になったよ、シゲゾーさん。」

「わかった、電話してみよう。」

 

プルプルプル 呼び出し中です。

「まだ打ち合わせ中ですか?」

「お前ら、まだ現場におるんか? 今 居酒屋じゃ。」

「何やっとるんや? 早う帰れよ。」

「ガチャ。」電話は一方的に切られてしまいました。

 

「何やっとるんや 帰れよ。だってさ・・・。」さみしそうなシゲゾー君の声。

 

「悲しすぎるね。シゲゾーさん。」

二人はさみしそうにトポトポ歩き、現場を後にしましたとさ・・・。

 

by

悲しいことも

時が笑い話に変えてくれると信じる

たたかう現場監督