笑劇の職人さん 1

新潟で働いていた頃のお話です。

14階建てのマンションも、外部の仕上げが完了しました。

いよいよ今日から、仮設足場の解体作業開始です。

今は、手すり先行足場というものがあり、手すりを先に取り付けて、手すりがある状態で足場の組み立てや解体を行えますが(足場上からの転落を防止するため)、約三十年前にはそのような物はありません。

当時の鳶さんは、高所にもかかわらず、足場の組み立てや解体時には、手すりのない足場の床の上を、資材を持って移動しなければならなかったのです。

転落防止として設置してあるのは、せいぜい親綱(転落防止用の安全帯のフックをかけるため)ぐらいです。

しかし、現実はフックをすると足場上で自由な身動きができないことと、安全帯からフックへのロープが足に絡まり逆に危険になるため、ほとんど使用されていませんでしたね。

一歩間違えれば転落の可能性は非常に大きかったのです。

そんな足場の解体作業が始まるため、転落事故が起きないように朝礼で注意喚起をしなければなりません。

さて8時前、協力業者の人達が現場事務所前に集まってきました。

集合している業者をざっと眺めます。

なぜか、足場解体業者の石松さん(仮名)の顔が、少し赤っぽい気がすると思いながらも、朝礼のラジオ体操が始まります。

どう見ても、体操している体の動きが普通ではない様子の石松さん。

飛び跳ねているところで、いきなりしゃがみ込みました。

慌てて近づくと、お酒の匂いがプンプンです。

「なんで二日酔いで仕事に来ちゃうの?」

「そんなんで、足場の解体したら落っこちちゃうど。」

二日酔いを無理して仕事に来たらしいのだが、ラジオ体操で酔いが回って気分悪くなったらしい。

まともに立てないのに、現場来ちゃダメでしょ!

解体業者の職長さんに話をして、早々に石松さんは現場から退場していただくこととなりました。

チャンチャン。

 

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そういえば、今の会社の後輩 シゲゾー君も

土曜日 二日酔いで仕事にきてて、

朝から机に伏せたままの体勢で半日。(ジーッとしてたど。)

午前中でお帰りしていただいた記憶がよみがえった

たたかう現場監督