出来ません?
何年か前のお話です。
道路沿いの敷地にある樹木を伐採するという仕事を営業がとってきました。
作業には社員のマサミンとヨネやんが選抜されました。
「ほとんど林じゃね。手前から一本づつ倒して片付けていこう。」とチェーンソーを持ち、伐採に取り掛かる。
倒した木は枝を払い、幹を短くカットしていく。
本数が多いため、見た目はそれほど進んでいるようには見えない。
「なかなか進まんね。」と話していると、社長のお気に入りの営業 ガワポンがやってきた、
「一本一本やっていたら、お客さんから見て、進んでいないように見えないので、道路から見える部分の木をいくらかまとめて倒し、それから枝払いしてください。」
「そうしたら見栄えが良いので!」との指示。
なれないチェーンソーを使っての作業と、倒れた木が重なり作業効率が悪くなったことで、作業は遅々として進まない。
夕方になって社長様とガワポンの二人が現場にやってきた。
開口一番、「なんでこんなにまとめて木を倒してるの? これじゃー効率悪いよ!」
「もう少し考えて仕事しないとダメじゃね。」と社長様。
唖然とするマサミンとヨネやん。
ガワポンは社長様の後ろで『社長のおっしゃることはごもっとも。』的な感じでうなづいている。
「オイオイ、おめーさんが指示したんだろう。ガワポン?」と言いたいのを我慢している二人。
さらなる社長様の言葉が追い打ちをかける。
「森林組合の人たちだったら。君ら二人が倒した分くらいはとうの昔に終わっとるぞ!」
社長様たちが帰った後。マサミンとヨネやんは呆然と立ち尽くしていました。
「わけわからんどー。本職の森林組合の人と同じような速さで作業はできんど!」
「ガワポンの奴、自分が指示したこと黙っとるし、腹立つわ。」
プルプルこぶしを握りしめる二人であったのです。
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世の中には理不尽なことが多いもの、
これが人生だと 達観する。
たたかう現場監督