おじさんの悩み

人件費を少しでも少なくし、経営の効率化のため、機械化が進む。

先日、同級生のゴト君が久々に家によってくれ、しばらく雑談する中で、ポツリと悩みを話してくれた。

「この間、映画館に行ってみたら券売の人はいなくなり、自動券売機が並んでいたんよ。」

「どうやって買ったらいいのかわからんので、買ってる人の様子をこっそり見てたんじゃが・・・。」

「よくわからんので、映画見るのやめて帰ってきたんよ。」ゴト君少し寂しそうです。

ここ数年映画を見に行ってなかったので、知らなかった。

「そうよのー。人がおったら話もできるし、融通もきくんじゃろうが、機械は融通がきかんけーの。」

「近いうちに、嫁さんと映画を見に行くんで、どうやったらいいか教えてあげるよ。」とおいどん。

おいどんたちアナログ世代は、どうも融通の利かない機械にコンプレックスがある。(この二人のおっさんだけかも・・・。)

おいどんたちの世代は、恥の文化をいまだに持ち合わせているため、機械の使い方がわからないことが、恥ずかしいと多少なりとも思うのである。

「こんなことも知らんのか!」なんて言われたり、思われたりするのは、屈辱なのである。

(つまらぬちっちゃなプライドがあるのです。誰もこんなおじさんのことなんか、気にしてないにもかかわらず・・・。ちょっと自意識過剰かな?)

ふと、脳裏に遠い昔の記憶。

電車の乗り越しをして、初めて自動精算機を見たときの事・・・。

「どうやってこの機械を使ったらいいの・・・かな?。」と焦った記憶がよみがえってきました。

(その時のおいどんも、必死になって人の使い方を見てましたね・・。おいどんの後ろにも人が並び、「頼むけん、後ろに並ばんといてくれ。」と思ったものである。)

機械の使い方わからないおじいちゃんに、教えてあげようとしたら、

「そんなこと、わっかっとる!」なんて怒り始めたというのは、照れ隠しの意味もあります。(大目に見てやってくださいませ。)

「そうじゃ、今度からLINEで連絡しようや?」とゴト君。

「いいけど、おいどんは、どうやったら友達追加できるかわからんよ。」と言いつつ携帯電話をとりに行く。

「さてどうやったらいいのかな・・・」とゴト君。しばらく携帯電話をいじっている。

 

「なんや、お前も知らんのんかい!」と心の中のおいどん。

「嫁さんに教えてもらおうか。」と言うと、

「また次の機会にしよう。」と車にそそくさと乗りこみ、去っていったゴト君。

この次がいつになるやらと思う おいどん。

完全に時代に取り残されている、おじさんたちのお話でした。

by

なんだかんだ言っても

頭頂部が一番の悩みの

たたかう現場監督