規格外?

まだバブルの名残が感じられた昔のお話です。

とある現場での朝、その男はやってきた。

何か得体のしれぬ、危険なオーラを身にまとってやってきた。

5人の現場片付け要員の一人として現場に到着したが、連れてきた担当者はさっさと帰ってしまった。

いつものように、早朝のどこかの公園で集めてきた人達らしい。

この人手が足りないときに、5人も集めてくれただけありがたい。

ケガなどせず、真面目に働いてくれさえすれば、こちらは問題ないのです。

新規入場時教育も後輩のキシやんが終わらせ、現場案内と本日の作業内容の説明に向かう。

建物の境界には側溝があり、流れ込んだ土やゴミ、隣家から落ちてきた葉っぱなどがあふれている。

「ここの側溝も今日中に清掃お願いしまーす。」キシやん元気に説明。

その時まで一言も発しなかったその男が開口一番

「あっ、カキだ!」

と言うなり、隣家のカキの木から落ちたのであろう、側溝の中のカキを無造作に拾い上げた。

と同時に カプッと言う音。

いきなりこの人 カキ食べちゃったど! (普通 食べんどー。しかも洗ってないし・・・。)

 

キシやんがその男を見ている、人間ではない別の生物を見ているように。

もともと大きい瞳を見開いて、ちょっと瞳孔が開いているような感じがする、キシやん。

今何が起きたの? 今起きたことは現実なのか?  一瞬 おいどんもわからなくなった。

 

少し時間がたち、キシやんと「建設業界には規格外の化け物がおるもんやねー」と真顔で話したのでした。

 

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この人は世界が滅びそうになっても

きっと生き残れるに違いないと考える

たたかう現場監督