リアル お日さん西西

「おひさんにしにし」と読みます。

働き始めた高松市香川県)の会社の研修の時、先輩たちが作ってくれた建築用語集の中に記載されていた言葉で、「これは面白い。」と思った記憶が残っています。

「あー早くお日様が西に傾いてほしい、五時になったら仕事終わるのになー。」とお日様が西へ西へと傾いていくのを、ひたすら待っているような、お気楽な仕事っぷりの人達のことを表す言葉ですね。

バブルのころ、工事現場の片づけ要員として手配してもらってた作業員などは、この手の人が時々紛れ込んでいました。

「ここの片づけ頼みますよ。」なんて指示を出し、しばらくして見に行くと、作業は適当で、勝手にどこか違う場所に行ってしまってるのです。

行方不明の作業員を探しに行き、片付けの手直しなどやってもらっていると、時間ばかりがたって、

「監督さん、五時になったんで帰ります。」なんて言って、中途半端なまま帰っちゃうなんてことがありましたね。

 

先日のこと、わが同僚のマサミンにも、西西なことをやられてしまったのだ。

マサミンの乗っている会社の車の調子が悪くて、修理に出していたのだけど、

「メーカーに確認してもらったけど、問題ありませんでした。」との連絡を受け、お昼過ぎに彼は車を引き取りに出かけました。

片道30分程度なので二時半には遅くても帰ってくるかな? なんて思っていたのですが・・・。

帰ってきたのは三時過ぎ。

『どこかで、少しさぼってたか?』なんて思っていると、

「あの車屋さんの対応が遅くて・・。」なんて、何も聞いてないのに、言い訳がましい言葉・・・。

「問題ないとは言ってたけど、曲がった後のハンドルの戻りが前より悪くなってるような気がします。」

「乗ってみてくださいよ。」なんて言われたので、現場敷地内を走行してみる。

通常、カーブを曲がった後は、ハンドルが自然に直進の状態に戻ろうとするのだが・・・。

この車は、ハンドルの戻りが悪く、ハンドル操作でサポートしてやらねばならない。

「こりゃー、変だ。運転しずらい。」サポートしなければ、ミズスマシのようにぐるぐる回りそうです。

マサミン、早速、車屋さんに電話をしている。

「もう一度、車を点検してみますので、持ってきてくれと言われました。」

「ちょっと行ってきます。」と弁当箱などちゃっかり手にしている。

「こいつ、現場に帰ってくる気ないな・・・。」なんて思いながら見送るおいどん。

16時半過ぎ。マサミンから電話。

「調整してもらって、さっきよりは良くなった気がします。」

「今から現場に帰っても、五時過ぎるんで、今日はこれで帰ります。」とのたまうマサミン。

「今日の昼からは、あんたは車に乗ってちょろちょろしてるだけで五時じゃ。」

「まだ五時になってないけど帰りますなんて、まさに、お日さん西西じゃのー。」

「今回は車の件なんで、俺の責任じゃありませんよ。

「まあええよ。今回は見逃しちゃろー。」とユルユルのおいどんでした。

 

by

以後、彼のあだ名を

お日さんニッシーと呼ぶことに決めた

たたかう現場監督