ストップ
おいどんが働き始めて約半年のとある日。(もう三十年前の話です。)
砕石が現場内に積み置かれています。
現場所長から水たまりになる場所に、その砕石を敷き均しておくように言われた先輩のヤマちゃん。
三時の休憩時間に、マレーシアから働きに来ているヤンさんに指示を出している。
「ここの砕石を水たまりに敷き均すんで、ここに山にしておいてください。頃合いを見て移動した量を確認しに来ます。」
「敷き均しは俺らが夕方やるんで・・・。」
「はい分かりました。」とヤンさん、とても元気です。
「ゲゲッ。」その俺らって、おいどんも含まれているのかな・・・。怪しくなって来たど。
「監督さーん。」他の業者さんから、休む間もなく声がかかる。
出撃です。
五時になり、そろそろ片づけをする業者を横目に、現場事務所に帰りかけたとき、先輩のヤマちゃんが真っ青な顔で近づいてくる。
(めっちゃ、嫌な予感するんだけど・・・。)
「ストップ言うの忘れとった。」ヤマちゃんの第一声。
まさかと思い砕石を確認。
「すまん。俺と一緒に運んでくれ。」
そこには大きな砕石の山。(ヤンさんまじめだね。よく頑張ったね。)
必要な量の約三倍の砕石がそこにありました。
「お前ら何やっとるんや?」と冷ややかな声の主任の声を背に、スコップとネコ車を準備するヤマちゃんとおいどんでした。
この後、砕石移動と敷き均しに一時間半かかりましたとさ。ヘトヘト。
by
確認の大切さを身をもって知る
たたかう現場監督