家の庇 考

最近、庇のない家が増えてきた。

デザイン的にはスッキリとしてかっこいいし、庇を作らない分コストダウンにつながるのでしょう。

考えが古臭いと言われるかもしれないのですが、個人的には庇は必要だと思います。

日本のように雨の多い国では、庇があると便利です。

少しの雨なら、外壁にかかる雨も防げますし、換気も可能。  

窓を開けっぱなしで、急に雨が降り出したなんて時には、室内への雨の吹込みが無くて助かったなんてことも。

庇がない家だと、雨だれで外壁が汚れていたり、太陽光の当たりにくい壁には、苔のようなものが発生した外壁を見かけることもしばしば。

庇の出幅で夏の日差しをカットしつつ、冬には太陽光を室内に取り入れるように調整することもできます。

庇の理想の出幅は、建物の有る地域の緯度によって多少変わりますが、高さ2メートルの開口部の場合は出幅70cm前後。

開口部下端から庇の高さの0.3~0.4倍以上の出幅が理想とされます。

庇の出幅が大きくなると、台風などの強風に対しての、強度が必要になりますので、ハウスメーカー設計事務所に確認しておくことは大切です。

 

最近の住宅の外壁はサイディング仕上げが多くなってきています。

サイディングの継ぎ目やサッシ廻りにはシーリングが施工されており、このシーリングが外壁から雨が浸入することを防いでいます。

(シーリングが劣化しても、外壁のサイディングの下に、透湿防水シートが施工されているはずなので、いきなり部屋内に雨が浸入することはないと考えます。)

外壁よりもこのシーリングの耐用年数は短く、太陽からの紫外線により劣化が促進されるので、いくらかでもその劣化を遅らせるためにも、庇は必要だと思います。

(ただ、西日は進入角度が低いため、庇で遮ることができません、経験上、西面の外壁の劣化が早いように感じます。)

 

庇のあるなしは、メリット・デメリットを知ったうえで検討されることが大事です。

 

by

久々に建築士らしいこと書いた気がする、

たたかう現場監督

(とりあえず一級建築士です。一級土木施工管理技士宅建士の資格も持っていますが、これはペーパードライバーのようなもので、持ってるだけです。ガックリ。)